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歯周病、むし歯を予防するための歯磨き粉の役割
こんにちは(・U・)
熊本市中央区にある新屋敷歯科こども歯科、衛生士の岩野です!
お口の中で困っていることはありませんか?
歯周病やむし歯はできる前に予防することが大切です。
そのために大切な歯磨き粉(歯磨剤)についてのお話をします。
歯磨剤を用いず歯ブラシだけでブラッシングをしても、丁寧に行うことでプラークを除去できますが、「むし歯予防」「歯についたステインの除去」などの十分な効果を得るのは困難です。歯磨剤は、そのような歯ブラシだけでのブラッシングの弱点を補う働きがあります。
また、歯磨剤のなかでもフッ化物配合歯磨剤を用いないブラッシングにはむし歯予防に対する科学的根拠が乏しくむし歯予防にはフッ化物配合歯磨剤の利用が重要であることが多くの臨床疫学的研究から明らかになっています。また、WHOも先進諸国におけるむし歯の減少は、フッ化物配合歯磨剤の普及によるものと結論づけています。歯磨剤のなかにはむし歯予防に働くフッ化物のほかにも、プラークやステインを効率的に除去するための成分や抗菌作用のある成分など、歯科疾患の予防に有効な成分が含まれているものもあります。また、歯磨剤はブラッシングによる爽快感を出すなど、毎日の歯磨きを楽しむためのものでもあります。日常臨床において、個々の患者さんにとってもっとも適した歯磨剤を選択するためにも、歯科医院売品だけでなく、一般市販品についてその成分や特徴を十分に知っておくことが必要です。
薬機法による分類
歯磨剤には、清掃剤(研磨剤)、発泡剤、粘結剤、香味剤などの「基本成分」と、むし歯や歯周病の予防などを目的とする「薬効成分」があります。歯磨剤の成分や作用の表示については薬機法に定められており、基本成分のみが含まれているものは「化粧品」に、基本成分のほかに薬効成分が配合されているものは「医薬部外品」にそれぞれ分類されます。
歯磨剤の成分は容器の裏面などに記載されていますので、商品に示されているコンセプトや効能表示も歯磨剤の選択の参考になります。
歯磨剤の基本成分
①清掃剤(研磨剤)清掃剤(研磨剤)は、歯を可及的に傷つけずに、歯面の汚れを効率的に除去するための成分です。炭酸カルシウムや無水ケイ酸、ピロリン酸カルシウムなどが使用されています。なお、清掃剤の種類だけでは、清掃性を判断することはできません。国内で市販されている歯磨剤の歯質に対する研磨性は、国際規格に基づき安全性が確保されています。また、一定以上の研磨力がないと、効率的に着色汚れを落とすことができません。そのため、清掃剤が無配合の歯磨剤を継続的に使用することで、着色汚れがつきやすくなる場合があります。
②湿潤剤湿潤剤は、歯磨剤の水分の蒸発を防ぎ、乾爆、硬化を防止し、使用感をよくするために大切な成分です。グリセリン、ソルビトールなどが使用されています。
③発泡剤発泡剤は、歯磨剤の有効成分をすみやかにロの中に行き渡らせるための成分です。市販されている多くの歯磨剤に含まれる発泡剤には、ラウリル硫酸ナトリウムが使用されています。発泡剤を配合した歯磨剤を使用すると「発泡剤の泡立ちのためにブラッシング時間が短くなる」と考える方も少なくないかもしれませんが、発泡剤はブラッシング時間に影響しないことが報告されています。また、発泡剤には抗菌作用があり、歯磨き後のプラーク形成を抑制するので、歯磨剤の成分のなかでもとても重要な役割を果たしています。
④粘結剤粘結剤は、歯磨剤の分離を防ぎ、適度に粘度を与えるための成分です。アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、カルボキシメチルセルロース、キサンタンガムなどが使用されています。歯磨剤の粘度は使用感のほかに、ブラッシング時の粘膜の保護作用に影響します。特に、液で薄まっても粘度がある程度保たれている歯磨剤は、歯ブラシの毛先と歯肉との間の摩擦力を軽減させ、歯肉へのダメージを少なくする働きがあります。
⑤ 香味剤香味剤は、歯磨所の味を調えるための成分です。メントール、サッカリンナトリウムなどが使用されています。歯磨剤は一般には、香味が重視されて選択されている傾向があります。最近では多様な香味の歯磨剤が市販され、それぞれの好みに合ったものを選び、歯磨きを楽しんで続けてもらうことが大切です。
⑥保存料は、歯磨剤の酸化などの変質を防ぎ、また開封後の細菌の増殖を防ぐための成分です。パラオキシ安息香酸エチルなどが使用されています。
歯磨剤の薬効成分
①フッ化物フッ化物はむし歯予防を目的として配合されてあり、フッ化ナトリウムフッ化ナトリウム(NaF)、モノフルオロリン酸ナトリウム(MFP)、フッ化第一スズ(SnF2)が用いられています。フッ化物によるむし歯予防効果は歯磨剤に含まれるフッ化物濃度に依存し、フッ化物濃度が高い歯磨剤のほうがむし歯予防効果は高くなります。6歳以上向けの歯磨剤として、フッ化物濃度が1.000ppmを超える高濃度フッ化物配合歯磨剤が市販されています。なお、国内ではフッ化物の上限を国際規格と同様の歯磨剤の薬効成分1,500ppmとしています。
② フッ化物以外の薬効成分フッ化物以外にも、特定の目的を重視した薬効成分が配合されている歯磨剤があります。目的に応じて選びましょう。
1) 歯周病の予防
多くの歯磨剤にはむし歯や歯周病の原因となるプラークの増殖を抑制する目的で、塩化ベンゼトニウム (BTC)、塩化セチルピリジニウム(CPC)、インプロピルメチルフェノール(IPMP)などの「殺菌剤」を配合してあります。また、歯周病の予防にターゲットを置いている歯磨剤には、殺菌剤のほかにグリチルリチン酸や塩化リゾチームなどの「消炎作用のある成分」が配合されています。さらに、塩化ナトリウムを配合した歯磨剤は、塩化ナトリウムの収斂作用や血行促進作用により、歯肉炎を防ぐ働きがあります。
2) 知覚過敏の予防
知覚過敏を防ぐための硝酸カリウムや乳酸アルミニウムを配合した歯磨剤があります。
3)着色の汚れを落とす
ポリエチレングリコール (PEG)などを配合し、着色汚れを落とす機能を重視したものもあります。
デンタルハイジーンVol.42No.5 2022より引用
歯磨き、歯周病でお困りの方はお気軽にご相談ください。
熊本市中央区新屋敷津田歯科こども歯科
歯周病学会認定歯科衛生士 岩野