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こんな子いるかな?
こんにちは、「新屋敷津田歯科医院」 歯科医師の津田禮彰です。
歯科医院の看板に口腔外科と書いてあるのをよく目にしませんか?
口腔外科と聞いてまず連想されるのは歯を抜くことと思われるかもしれません。
確かに抜歯は歯科医院で行われる外科処置の中で一番多いでしょう。しかし外科処置は抜歯以外にもたくさんあるのです。今回は歯科医院で行う抜歯以外の外科処置の一つをお話ししたいと思います。
その名は「小帯伸展術」
口腔内には上唇小帯、下唇小帯、頬小帯や舌小帯と呼ばれるさまざまな筋(スジ)が存在します。それらに異常があると、痛み、発音障害、審美障害や義歯の不安定などを引き起こす場合があります。
そのような場合に行うのが小帯伸展術です。
小帯を切除・伸展させ、正常な形態や位置に改善させる処置です。
それではそれぞれの異常な小帯について説明します。
⒈ 上唇・下唇小帯異常
上唇や下唇小帯に異常があると、前歯が離れたままの正中離開や位置異常による審美障害、運動障害や疼痛などを引き起こすことがあります。上唇小帯は生まれた時は短く、成長と共に徐々に退縮傾向を示すため経過観察が必要です。あきらかな障害が認められる場合は小帯伸展術を行います。施行時期は10歳前後に行う場合が多いです。
⒉ 舌小帯強直症/短縮症
舌の裏にある小帯の肥厚や付着異常、形態的な短さにより舌の運動が著しく制限され哺乳や咀嚼、嚥下や発音などの機能が障害される場合があります。哺乳障害を引き起こした場合は新生児や乳児期に発見されることがあります。とくに重度の哺乳障害を認めない限り、哺乳指導を行いながら経過監察をすることが多いです。咀嚼、嚥下や発音などの機能が障害される場合は幼児・小児期に発見されることがあります。舌小帯も成長と共にある程度の治癒が期待されるため5歳ごろまでは舌運動訓練を行いながら経過監察行い、必要によっては外科的処置をすることが多いです。
昨今、舌の機能異常は歯列咬合の不正に密接な関連がある事も周知され始めており、小児期の矯正治療で舌小帯の機能異常の改善が必要となる事も増えてきています。
舌を上にあげても口蓋につけれません。
舌を前に出した時に舌の先にスジが入ってうまく前に出せません。
伸展術後1ヶ月 舌を長く伸ばせています。
<舌運動訓練>
小児期における口腔機能の発達支援を目的としてMFT(Oral Myofunctional Therapy:口腔筋機能療法)というものがあります。舌や口唇の異常習癖などを改善するために小児矯正等で実施されているもので、さまざまなトレーニングがあります。舌に関するトレーニングは、舌小帯短縮症治療における運動訓練としても応用することができます。軽度の症例であれば手術を回避することも期待できます。外科処置により形態的に治癒しても、舌の動かし方がわからない子に対しては特に有用です。外科処置後の拘縮により舌運動の回復ができない場合もあるため、外科処置後はできる限り舌の運動訓練を行い、機能回復に努めることが推奨されます。
⒊ 頬小帯異常
頬小帯の高位付着や外傷後の瘢痕により狭い口腔前庭の場合には、ブラッシングが困難で清掃不良を引き起こす場合があります。また入れ歯が接触することによる痛みや義歯の不安定を引き起こすことがあります。そのような場合には小帯切除術や遊離粘膜移植術による口腔前庭形成術を行う場合があります。
上記のような症状をお子さんやご自身に認めた場合はお気軽に新屋敷津田歯科医院歯科医院にご来院・ご相談下さい。
口腔外科認定医 津田 禮彰