ブログ
blog
歯周病のサイン
こんにちは!
新屋敷津田歯科医院、歯科衛生士の岩野です(・U・)
みなさんは歯肉の腫れや痛みを感じたことはないでしょうか?
それは歯周病のサインかもしれません。
歯周病には慢性的にあるものと急性的に症状が出るものがあります。
今日は急性的に症状が出る場合のお話をしていきます。
急性的な症状とは、健康な状態あるいは無症状の慢性炎症が、なんらかの外来性刺激、疲労やストレスなどの内因性の原因により急性炎症が引き起こされた現象です。
「発熱・発赤・腫脹・疼痛」を炎症の4大兆候といい、それに「機能障害」を加えた場合は5大兆候とよばれています。この5つの兆候を歯周組織の炎症症状に置き換えて考えてみると、次のようになるかと思います。すなわち、歯肉の炎症の代表的な5大兆候とは、
①歯肉の熱感(発熱)
②歯肉の発赤
③歯肉の腫脹
④歯肉の疼痛
⑤歯の動揺(機能障害)となります。
歯肉炎の急性症状では、著しい歯肉の発赤腫脹、歯肉の疼痛、歯肉からの易出血がみられます。また歯周炎の急性症状においても同様の歯肉の炎症所見がみられますが、加えて深い歯周ポケットと歯槽骨の吸収が特徴的で、具体的に何が起こるかと言うと
・歯の動揺の増加
・歯の挺出
・咬合痛
・歯周ポケットからの排膿
また症状が進行すれば
・膿瘍
に発展します。
正常な歯肉の状態にプラーク(歯垢)が付着し停滞すると、歯肉に炎症が起こり歯肉炎となります。
歯肉炎の進行過程は、初発期の歯肉炎→急性期の歯肉炎→慢性期の歯肉炎の3つのステージで進行します。プラークの付着が継続し、停滞すると歯肉の発赤腫脹、滲出液が増加し急性炎症がみられるようになります。プラークが付着し4〜7日経過すると発症するといわれています(急性期の歯肉炎)。プラークが付着し2~4週間経過すると、歯肉結合組織の破壊が進行し炎症は深部に広がります(慢性期の歯肉炎)この段階では慢性炎症と急性炎症が混在します。
歯周病のリスクファクター(危険因子)は
①細菌因子
②宿主因子
③環境因子
の3つに分類され、この因子間のバランスによって健康状態から歯周病の発症、また歯周炎の慢性症状と急性症状が成立します。
①細菌因子とは、プラーク中に存在する種々の歯周病原細菌であり、歯周病発症の引き金となることから歯周病の初発因子ともいわれます。
歯肉縁上(歯ぐきより上)や歯肉縁下(歯ぐきの中)のプラークの量やプラークを構成する細菌の病原因子が関連します。
②宿主因子には、プラークのリテンションファクターや炎症の増悪因子、外傷性因子などの局所的因子と、全身疾患や遺伝的リスクファクターなどの全身的因子があります。
そして③環境因子は後天的リスクファクターともいわれ、喫煙、ストレス、薬剤などの普段の生活に関連したものがあげられます。
急性的な症状はこれら複数の因子が多様に交差して関与し、慢性状態から急性発作を起こします。
ではそのリスクを下げるためには…
歯周病に関連した急性症状は深い歯周ポケットまたは、根分岐部病変(歯の根っこの股の部分)などの複雑なポケット内環境で特に誘発される傾向にあります。急性的な症状が起こるリスクを下げるために私たちにできることは、なんといっても徹底した歯肉縁上のプラークコントロールに尽きます。
深い歯周ポケットに対しては、SPT(歯周病安定期治療)中はもちろん、歯周治療期間中においても歯周ポケット内洗浄を行い、歯周ポケット内にできるだけプラークが停滞しないようにすることがせめてもの予防策だと思います。含嗽剤を併用するのもよいでしょう。そして、深い歯周ポケットが残存した状態でSPTに移行した場合は、歯周ポケット内での歯石の再沈着に注意します。
まずは正しい歯磨きのやり方を覚えること(磨いているのと磨けているのは少し違います。)、そして治療が終わった後もメンテナンスを続け、自分では磨けない部分をプロの私たちが綺麗にしていくことが歯周病治療には欠かせません。
新屋敷津田歯科は歯周病治療のプロ集団です。お気軽にご相談ください。
(デンタルハイジーン第42巻6号より引用)
日本歯周病学会認定歯科衛生士 岩野