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歯周病で歯を失う!?
こんにちは、新屋敷津田歯科医院 歯科医師の小堀聖子です。
皆さんは、抜歯(歯を抜く)の原因には何が多いかご存知ですか?
歯科医師として毎日患者さんのお口の中を見て、歯を残すために日々働いているわけですが、悲しい事に抜歯しなくてはいけない局面というのが時々あります。
10年〜20年前に比べると、抜歯しなくてはいけない歯はだいぶ少なくなって来てはいますが、歯科先進国の北欧に比べると正直まだまだ多いのが現状です。
厚労省のデータによると、歯を失う2大原因は、「歯周病」と「虫歯」となっています。
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-04-002.html
厚生労働省 e-ヘルスネットより抜粋
このデータから言える事として、虫歯はどの年代でも抜歯原因としてある一定数見られるのに対し、歯周病は中年期以降の最大の抜歯原因であるという特徴があります。そして、50代以降はぶっちぎりで歯周病が抜歯原因の第1位の座に君臨しているのです。
なぜこの様なトレンドになってしまうのでしょうか?
理由は様々ですが、一つは歯周病原菌に大きく関係しています。
世界的に明らかなエビデンスに基づく事実として、
「歯周病の原因は、プラーク(歯垢)である。」という事がわかっています。
歯垢の中にはおびただしい数の歯周病原菌が存在しており、歯周病を治療するにはそのプラークを除去する以外に方法はありません。
そして、悲しい事ですが、現代の医療でも一度歯周病で失ってしまった歯周組織を元に戻すことは出来ません。
かからない様にする、予防がとても有効な疾患なんです。
その歯周病原菌が好む環境は、若年者にはあまり存在しない傾向にあります。
逆に、中年期ではこれまで長い間蓄積されたプラークにより徐々に形成された深い歯周ポケットが確立されていくことで、歯周病原菌が好む環境が出来上がっていきます。
また、中年期では職責も高まりもあって、なかなか歯科受診に時間を割けない人が増えていきます。つまり、プラーク除去が出来ないでいる事が、そのまま歯周病の進行につながってしまうのです。
厚労省のデータによると、喪失しやすい歯の種類にも特徴があります。
奥歯の方が、より失いやすいという事が言えるのです。
これにもいくつか理由が考えられます。
単純に、前歯よりも奥歯の方が磨きにくい。つまりプラークが除去しにくいわけです。
また、奥歯には私たちが物を食べるたびに大きな負担がかかります。
歯周病を増悪させる因子の一つに、「力」があります。
歯周病単体の進行スピードよりも、歯周病に力を加えた方が早いスピードで歯周病が悪くなる事が証明されています。
まずは、奥歯を歯周病にかからせないようにすることが肝要です。
以上のことから考えると、
「30代以降の歯周病リスクが高まる年齢では、定期的にプラーク除去をする」
これが、最も有効な歯周病の予防になりそうですね。
新屋敷津田歯科医院には、歯周病学会認定医の他にも歯周病学会認定衛生士も複数人在籍しています。
歯周病は生活習慣と直結した疾患です。
毎日のちょっとした行動の変化が、歯周病の予防、治療につながります。
ぜひ一度専門家にご相談ください。
当院のHPでも歯周病治療について書いています。ぜひご覧ください。
https://www.tsuda-dental.com/gum-disease/
新屋敷津田歯科・こども歯科
日本歯周病学会 認定医
日本歯科麻酔学会 認定医
歯科医師 小堀聖子